ミツバチの一生

今回は「ミツバチの一生」と題して書いてみました。「ミツバチ」と申しましても、私共の場合は日本ミツバチであります。

   

私共の仲間内では日本ミツバチのことを“和蜂(わばち)”と呼ぶことが多く、この方が分かり易いので今回も日本ミツバチのことを「和蜂」と書きます。

   

和蜂には「女王蜂」「働き蜂」「雄蜂」の3種類がいます。(西洋ミツバチも同じ)

分蜂した新しい蜂群(コロニー)は女王蜂を中心に平均的に5,0008,000匹位の働き蜂で構成され、次第に働き蜂の数を増やしてやがて10,00015,000匹程の集団と成ります。

元の巣の親女王蜂であれば既に受精を行っていますので、新しい巣箱の中に働き蜂の卵を産卵致します。(有精卵が働き蜂となり、無精卵は雄蜂と成ります)

  

前回も書きましたが巣枠に産みつけられた卵は花粉を餌として次第に成長し幼虫、そしてさなぎとなり2週間後に働き蜂となります。

  

さて、生まれたばかりの働き蜂は直ぐに「花蜜」や「花粉」を集めに飛ぶと思われがちですが、生まれて1ヶ月位は巣の中の掃除や先輩蜂が運んで来た花粉や花蜜を巣枠の中に納める作業やミツロウで巣を大きくすることも大切な作業であります。又、巣箱の入口で警備したり、色々の作業を致します。我々はこれを「内勤作業」と呼んでいます。

  

約1ヶ月の内勤をした後、ようやく外勤となり飛翔半径約2km(西洋ミツバチは34km)範囲内で季節毎に咲く花の花粉を運びます。これを「花粉ダンゴ運び」と呼びます。ちなみにこの花粉は幼虫の餌となり特に注目するのは料理人のような働き蜂が居て花粉と自分の体中からの分泌物であの有名なロイヤルゼリーを作り、その貴重な食物を女王蜂に提供するのです。女王蜂はそのロイヤルゼリーのみを食し一生(約3年間)で100万個位を産卵します。

又、1ヶ月の内勤を終えた働き蜂は外勤として行動範囲内に咲く全ての花の蜜を集めます。これを「百花蜜」と呼び、和蜂の最も特徴的なものです。(最近では西洋ミツバチの方でも各種のハチミツを混ぜ合わせて「百花蜜」?なる物が販売されていますが似て非なるものです。)

働き蜂も約1ヶ月間の外勤の後、短い一生を終えることになります。

  

雄蜂は3月頃から次なる女王蜂が産まれる前に親女王蜂が無精卵を巣枠に産卵し、2週間後に雄蜂として産まれます。この雄蜂たちは新女王蜂が誕生したのち、種族保存の為交尾旅行に飛び立ちます。その新女王蜂を追い求め約500800匹の雄蜂が上空で乱舞します。新婚旅行?は23日位で終え、新女王蜂は雄蜂からの精子を精嚢(せいのう)という器官に貯め、一生のうちに約100万個を産卵するのです。 

   

ちなみに種族保存の交尾を終えた雄蜂は無残にもその時点で即死します。

又、運悪く交尾の出来なかった雄蜂は巣箱から追い出されます。自らハチミツを作ることは不可能なので衰弱した後に死に至ることになります。自然界の厳しさを感じる瞬間でもあります。

   

次回のミツバチ日記でも皆さんの知らないミツバチたちの世界をご紹介できたらと思っております。

 

 

※オオスズメバチの一生を描いた百田尚樹氏作「風の中のマリア」は蜂の世界を理解するのにとっても役に立ちました。

参照:「風の中のマリア」百田尚樹, 講談社, 2011

   

 

  

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