毎年 冬季になると思い出すことが有ります。
養蜂を始めて間もないころですが 春、夏、秋と活躍してくれた和蜂たちも殆どが寿命を全うして亡くなりますが僅かに生存する蜂が酷寒の冬を越えるために小さな体で必死になって集めてきた花蜜をすっかり取り上げて蜜搾り機にかけて販売してしまいました。
当然のことですが腹を立てた蜂たちはこんなところで生活は出来ないと云って全員で逃避してしまいました。今から思えばとんでもない事をしていました。
又、夏の猛暑時には養蜂しているビル(4F)の屋上は床(コンクリートの為)の温度が50度~60度位に成り人間的には耐え難い温度になります。きっと蜂たちも暑さで参っていると思い近所のお屋敷のお庭の樹陰に巣箱を引越ししたところ二日目に一群全員で逃避されてしまいました。原因は定かではありませんが蜂が嫌う樹木(例えば夾竹桃)が近くにあったのだと思われます。
次に冬季ですが外気温が氷点下になることも度々あります。寒さに打ち震えている蜂たちを少しでも温かくしてあげたく巣箱の回りを発泡スチロールで防風したり時にはホカホカカイロを入れて冷気を避けるよう尽くしました。しかしこの時も全員の蜂たちに逃避されてしまいました。
ある時 先輩の養蜂家に相談したところ「素人は皆 それで失敗するんだよ!」と云って笑いながら教わったのは、和蜂(日本蜜蜂)は巣箱の中の温度を自分たちで調節することが出来るので人間が余計な事をしなくても生きていける術を持っているとの事でした。それは巣箱の中にいる働き蜂たちが一斉にホバリング(羽根を震わせる)をして夏でも冬でも常時室温を22度~24度位に保っているのです。良かれと思って必死になって防寒や防暑をしていたが 蜂さんから見れば「小さな親切 大きなお世話!」としか映らなかったのでしょう。
養蜂初期の頃の“泣き笑い養蜂珍事”でした。