過日、多摩地区の農家の方から電話があり「自宅の作業小屋の屋根裏に蜂の巣が有るようで、捕獲して欲しい!」との内容であった。
約束した下見日は36度の猛暑日であった。広大な本宅の周囲には大木が植樹され手入れの行き届いた庭には沢山の花が咲き、生き物にとっては絶好の自然環境であった。
作業小屋には空調が無く、全身汗だくになりながらの作業となりました。その作業小屋には収穫されたばかりのジャガイモが整然と箱に詰められて出荷されるのを待っている雰囲気でした。小屋の天井を見渡してみると片隅の天井板が雨漏りで濡れているのかと思える程に変色していることに気付き、この部分の屋根裏に巣が作られているようだと主に伝えたところ、
「実は3年前からこの雨漏り?状態が発生し、徐々に大きく広がってきたので知人に話したところ、蜂の巣から流れ出た蜂蜜であろうから早く除去した方が良い!」と教えてくれたそうです。
また、その知人から日本ミツバチを生け捕りにして絶滅危惧種にならないように保護育成しているNPO団体が有るから、そちらに相談すると良いと教わり、ネットで調べて当方に連絡されたそうです。
父親の死去に伴い農家を継いだ主は昆虫が苦手なようで、特に〝ハチ〟に弱く(ミツバチは安全、安心だと伝えたが・・)屋根裏の巣の状態を一度も観察することが無く、益々大きくなる基巣に対して恐怖を感じるようになってきたので早く捕獲して欲しいとの希望であった。
脚立を用意し屋根裏を覗くと真っ暗であった。その空間にライトを当てたところ屋根の棟木の継ぎ部分から真っ黒に見える巨大な柱?を発見!
じっと黒い柱を見ていると、その表面には数万匹の和蜂の大群であった。動き回る蜂の間からは白くて大きな和蜂の基巣が見え、目測すると幅40~50cm、長さ70~90cm、厚さ4cmくらいで10枚程の巣板がぶら下がっていた。一瞬「素晴らしい宝物」を発見した気分になり暑さもどこかへ吹き飛んでしまった。こんなに大きな基巣を捕獲した経験は今まで一度もなく、小生の師匠に連絡したところ、夏場の捕獲作業は働き蜂が最も元気であり数も多く危険であるからもう少し涼しくなってから作業した方が賢明であると忠告を受けたので、秋に入ってから捕獲作業を行うことで主と約束して帰ってきました。
帰りの車中では興奮状態も治まっていたので「和蜂捕獲作戦」をいろいろな方法を組み合わせ、その作業に必要な道具類を如何に集めるかなどの作戦準備で頭の中が一杯になってしまった。
帰宅したのは午後11時頃になったが、充実した実に楽しい一日であった。