屋上養蜂の泣き笑い顛末記

今夏の八月初旬の事でした。

「アオキさん!会館屋上の巣箱からハチミツが流れ出ています!どうすれば良いですか?」

午前中の見回り検分で発見した担当者からの電話で事務所内に緊張した雰囲気が漂いました。

    

事務所の近くの商店街にあるそのビルはかなり古い建物でエレベーターが設置されていません。4階まで階段を昇らなければならず高齢者にとってはかなりの負担です。緊急事態発生と成れば急がなければなりません。

やっとのことで屋上の巣箱に到着したところ巣箱の出入り口(巣門)から琥珀色のハチミツが屋上床のコンクリート面まで流失していて 辺り一面にハチミツの香りが漂っていました。

    

巣箱には落下防止棒が入っていて通常の気象状態であれば十分落下を防ぐことができるが異常高温の日々が続いたため、蜜板の急成長に伴い自らの重さと柔軟さにより落下防止棒(金属製の番線)がナイフの役目となり巣板全体が落下したようだ!

    

立派に成長していた巣板の落下により巣箱の中の女王蜂や働き蜂は逃避してしまったようです。

この箱の女王蜂は昨年の夏の終わりころに生まれた(夏分蜂)ため働き蜂の数も少なく、かなり衰弱気味でした。越冬することは困難と思われていたが担当者達の必死の努力で見事に越冬し、春先から順調に産卵が始まり一同大いに喜んでいました。

    

今回の惨状を目前にした担当者達は悔しい気持ちを抑えて“きっと近くに緊急避難しているとおもう!数日後には再び戻ってくると思うので巣箱の中を元の状態に戻そう”と云いながら涙しているのを見て、これ程までに愛情を注ぎこんで世話をして貰っていたのかと改めて感謝の念が沸いてきました。

    

残念な結末でありましたがこの一件で多くの事を学ぶことが出来ました。

 

来年は決して繰り返すことの無きように素晴らしい巣箱づくりと極上ハチミツが出来ることを皆で誓い合いました。

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